パリのちモスクワ

パリで出逢ったロシア人と10年後にモスクワで結婚。超ロジカルな夫と超うっかりな私の生活、ロシアの魅力。

カースタント体験

こんにちは。

 

モスクワは秋です。

たまに氷点下になりますが、11月はれっきとした秋。

去年はもうこの時期、雪が降っていました。

もうすぐ綺麗な雪の季節です。

 

モスクワに住んで1年10か月が経ちましたが、

この度初めて、日本から友達が遊びに来てくれました。

なかなかロシアへ旅行に来られる友達はいないもんです。

家庭があったり、なかなか長い休みが取れなかったり、

ロシアがまだ謎過ぎたり・・・。

 

今回来てくれた友達は、海外旅行が大好きなうえ、

ロシアが本場のバレエやクラシックにも興味があるので、

持ってこいの旅行先。

私がパリに住んでいた時も、遊びに来てくれました。

 

何としても、ロシアを好きになってもらうべく、

奮闘いたしました。

 

まず、空港までお出迎え。

行きは空港直通のエクスプレスに乗って行きました。

帰りは10時間のフライト後の友達と一緒ですからタクシーで。

 

モスクワでは、ケータイアプリで簡単にタクシーを予約でき、

そのタクシーの番号や車体の色、運転手の名前、今どこにいるかもチェックできるし、運転手と直接電話連絡も出来るので、とっても便利。ケータイ音痴の私でも使えます。

 

そして、早速タクシーを予約し、外で待機。

私の語学力では、電話をされても余計に混乱しますので、

車番を必死に探します。

 

すると、案の定電話が・・・。

仕方が無いので出ます。

運「着いたけど、どこにいますか?」

私「〇番出口の前。」

運「僕も。どこですか?」

近くに大きな広告映像の画面が目に入ったので、

私「えーと、あー、でっかいテレビがある所。」

運「僕も、そこ。すぐ近く。」

私「あー、見えた見えた!行きます。」

 

すると、若いお兄ちゃんが、

早く早く!というジェスチャーとともに降りてきました。

 

お兄ちゃんはトランクを素早く積み、

「急いで急いで!」

私達はわけもわからず乗り込みます。

乗りこむとドアを閉めてない状態で走り出しました。

「おーい!」

「ほら、駐車券がさあ!ぎりぎり!あははー。」

と、軽快に飛ばします。

 

そして、無事駐車券の時間内で脱出。

「わーい!」

良かったね、お兄ちゃん。

 

それから、お兄ちゃんの質問の嵐。

「韓国人?友達はなんでマスクしてんの?病気?」

「日本人だよ。私はモスクワに住んでて、友達は日本から

遊びに来たんだよ。マスクはねー。」

なんて説明するか・・・。

飛行機は空気が乾燥するから。って言いたい。

でも『空気』って単語忘れた。『乾燥した』はわかる。

 

「ほら、これ(空気を手でジェスチャー)わかる?

エアー、わかる?」

「ボズドゥハ(空気)?」

「そうそう、それ、サマリョート(飛行機)は、

エアーがスーホイ(乾燥した)だからー。」

と、英語とロシア語と日本語をミックス。

 

すると、お兄ちゃん大爆笑。

「エアーがスーホイ!わかる!超面白い!」

もう、ゲラゲラなのです。

「そんなに・・・?」

「うん、面白い!」

ひゃーっひゃっひゃっ!

「日本語でこんにちはってなんて言うの?」

「こんにちは だよ。」

「こんにしわーこんにしわー。」

「さよなら は?」

「さよなら だよ。」

「さよならーこんにしわー、俺、超うまくない?」

「うまいうまい。」

ひゃーっひゃっひゃっ!

あまりに底抜けに明るくて、こっちも笑ってしまう。

 

友達が、

「みっちゃん、もしかして知り合い?」

と聞くぐらい、すぐに打ち解けてしまった私達。

 

彼はアゼルバイジャン出身のラウル君33歳。

 

「音楽きく?」

と、ご機嫌なアゼルバイジャンナンバーを聞かせてくれました。

 

それからも世間話をしつつ、ラウルの誘い笑いが続きます。

 

自由なラウルは、

「ちょっと電話しても良い?」

100キロ出しながら、友達とゲラゲラ笑いながら話しています。

 

笑いながら、話しながら、100キロで車線変更しっぱなし。

私達は後ろで、

「おーい!ちょっとちょっと、速過ぎー!危なーい!」

と、つかまりながら悲鳴。

友達は自主的にシートベルト着用。

「ちょっとちょっとー!私、死にたくないんだけどー!」

「大丈夫!」

「そんなこと、信じられない!ちょっとちょっとー!」

「ちょっとちょっとー!(私の真似)あははー!俺も死にたくない!大丈夫、俺子供3人いるからー!」

「へー、そうなんだ!(友達に)子供3人いるから、俺も死にたくないから大丈夫だってー。」

一瞬、その変な理論になっとく。

なんでも、奥さんはいなくて(事情はわからないけど)、

子供はお姉さんが見てくれているらしい。

 

こんな、まるで明石家さんまさんのような、元気なラウルにも、

色々あるんだろう。

 

そこからも渋滞の道を、走っちゃいけない側道をぶっ飛ばし、ブレーキはほとんど使わずに車線変更していく。

後ろでギャーギャー言う私達に、わざとハンドルから手を放してみたり、

「大丈夫大丈夫!今日のことは、君たちずっと忘れられないでしょ?」

と、ご機嫌。

 

悲鳴を上げながらも、

「大丈夫かもな。」

と、うっすら思ってしまいましたが・・・。

 

しかし、あの運転で、よく捕まらなかったと思います。

大げさじゃなく、映画のカーチェイスのような運転技術。

本当にジェットコースターより恐怖でした・・・。

でも、後で友達と、

「運転はすごくうまかったよね・・・。」

と話しました。

 

無事に高速を降り、

「死ななかったね。」

と言ったつもりが、動詞が間違っていて、

「死ななかったね、だよ。」

と、ラウルが直してくれました。

こんな風に家に着くまで、片言のロシア語の間違いを、

私が何を言いたいか即座に理解して、何度も直してくれました。

 

理解してくれる彼だから、いっぱい会話が出来たのです。

ロシア語でこんなに沢山、楽しく会話をしたのは初めてでした。本当に楽しかった。

 

そして最後、家の近くで、

「この辺でしょ?」

と聞かれ、

「そう、あ、コレコレコレ!」

と言うと、

「コレコレコレ!ひゃーっひゃっひゃっ!」

また、ラウルのツボに入りました・・・。

そこから、アパートに着くまで、

『コレコレコレ』

を、何度もおねだりされる始末。

「気に入った?」

「うん、超面白い!!!」

 

私達は、最後まで車内でゲラゲラ。

「じゃあね、本当に気を付けてね!」

と、お別れ。

 

普通のタクシーだったら、確実に1時間位到着が遅かったでしょう。

死ぬかもと思ったけど、結果オーライです。

ラウル、ありがとう。

 

彼のお陰で、友達は私がロシア語がペラペラだと勘違いしてしまい、

「いや、こんなに話が通じたの初めてなんだよ。」

と言っても、

「すごい、すごいよ!」

と、しばらく感激していました。

 

それ以来、下手なロシア語を話すことに抵抗が無くなりました。

 

ラウル、ありがとう。

子供達のために、カースタントは控えめにね!